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第三者に商標登録されてしまった場合の対処方法をご紹介します

 先日、世間は「ゆっくり茶番劇」の話しでもちきりになりましたね。一時はライセンス料が撤廃され、商標登録は維持すると発表されたものの、その後2022年5月23日に商標登録を受けた柚葉氏が放棄手続を行うとのことで今回の騒動は落ち着きそうな感じはあります。

 商標登録に対しての有効的な手段はあります!

  商標法には登録異議の申立て制度があり、商標掲載公報の発行の日から二月以内であれば、その商標登録に対して異議を申立てることができます。登録異議の申立てにかかる審理の結果、その商標登録が所定の条件を充たすときは、その商標登録が取り消されます。しかし、本件については商標掲載公報の発行の日から二月を経過していました。

 登録異議申立て期間の経過後でも商標登録を取り消す方法はあります!

 登録異議申立て期間の経過後であっても、無効審判という制度によって商標登録を取り消すことができる場合があります。無効審判は、請求人が利害関係人である等のいくつかの要件を充たせば特許庁に対して請求することができます。もっとも、登録異議申し立てよりも費用はかなり多くかかってしまいます。

 本件に関して、柚葉氏が商標使用にかかるライセンス料を撤廃したため、わざわざ無効審判を請求して商標登録を取り消さなくても良いようにも思えますよね。実はここでも落とし穴が一つあるんです。

 商標法には除斥期間というものが設けられています。除斥期間が設けられていることにより、商標権の設定登録の日から五年を経過し、かつ、権利者の出所表示として「ゆっくり茶番劇」が有名になっていれば、無効審判の請求をすることができなくなります。そのため、現状では一旦ライセンス料を撤廃し、無効審判請求が不可能になった五年経過後に再度ライセンス料を求めるといったことも制度上は可能なのです。
 このような制度があることが考えると、本件に関しては冒頭のとおり、柚葉氏による商標登録の放棄が最も好ましいと思います。もっとも、除斥期間の適用には権利者の出所表示として「ゆっくり茶番劇」が有名になっている必要があるという要件があり、この要件が充たされることはほぼほぼないと思いますので、五年経過したとしても無効審判の請求はできる可能性が高いです。もとより、商標権が成立していたとしても権利行使ができる可能性も少ないと考えられます。

 しかし、商標というものの世の中の認知が変わってきており、商標問題が起こりやすい世の中になっていることは誰もが感じていることかと思います。なので、商標登録の重要性と併せて、商標関係のトラブルがあった場合のリカバリーとしての登録異議の申立てや無効審判等の制度についてはぜひ覚えておいてください!