トナー詰め直しによる商標法違反。どの行為が侵害?

 2022年2月17日にプリンターの使用済みカートリッジにトナーを詰め直し、そのカートリッジが新品だと偽って事務用品販売会社の社長が商標法違反の罪に問われたニュースがありました。みなさんは、事務用品販売会社の行為のどの部分が商標法違反にあたるかわかりますか?新品ではないのに新品であると偽ったことでしょうか?

 また、プリンター用のカートリッジは、純正品以外にも、○○(大手電機メーカー)用と書かれた互換性のあるカートリッジがたくさん販売されていますよね。これらの行為は商法法違反にならないのでしょうか?今回は、事務用品販売会社の行為のどの部分が商標法違反にあたるかを紐解いていきます。

 まず、商標法違反は、他人の商標権を侵害することで認められます(商標法第78条)。つまり、他人の商標をその商標にかかる商標登録の用途に対して使用することで商標法違反の罪に問われます。

 事務用品販売会社は、使用済みのカートリッジにトナーを詰めなおして、新品と偽って販売していますが、「新品と偽って販売」という部分に関しては商標法違反の問題ではありません。

 本件において商標上問題になるのは、他人の商標を使用しているかどうかです。商標法は、他人の商標を使用することで、消費者による出所の混同が生じてしまうことを問題としています。

 事務用品販売会社は、トナーを詰め直したカートリッジを大手電機メーカーの純正品だと偽って販売しており、また、当該大手電機メーカーのロゴが印刷された箱を偽造しているとのことから、当該大手電機メーカーの商標を商品パッケージに対して使用していると考えられます。この行為が、大手電機メーカーの商標権を侵害します。

 一方、○○用とパッケージに記載されたカートリッジを販売することは、他人の商標権を侵害することにはなりません。なぜなら、商標法は、消費者による出所の混同を問題としているため、○○(大手電機メーカー)用とパッケージに記載されていても、その記載が大手電機メーカーから販売されているものと消費者が誤認するおそれがない場合は出所の混同が生じないからです。

 いかがでしょうか。どの部分がなぜ問題なのかという分解をすることは物事の理解が深まり、面白いですよね。